私は勇気を出して玄関の扉を開けた。
扉から溢れる光に目がくらむ。
しかし、それもつかの間の出来事だった。
すぐに空が暗くなり、何かが次々と降ってくる。
水だ。
吸血鬼は流れる水を渡れない。
いつか聞いたことがあるこの言葉を今さらながらに思い出した…。
少々の後、私は耐えられなくなり再び家の中へと入った。
家中に音が響いている。
さっきパチュリーに止めてもらったばかりの音だ。
この音は空から降ってくる水が引き起こしているものだったのだ。
それにしても何故?
そう疑問に思っていると後ろから誰かが近づいてきた。
振り向いてその姿を確認する。
メイド長、パチュリー、それにお姉様。
三人もそろって一体何だというのだろう。
しかもパチュリーは何か詠唱中のようだ。
三人組は間もなく私のところまでやってきた。
私はパチュリーに対してあからさまな敵意を向けたがすぐにやめた。
お姉様に止められたからだ。
私が落ち着いたのを確認するとお姉様はこう言った。
「外へ出てもいいことなんか何もないわよ。」
やはり隠し切れてはいなかった。
当然といえば当然だろう。
パチュリーとの問答はあまりにも怪しすぎた。
しかし、納得がいかなかった私はこう聞いた。
「なぜ? お姉様はちょくちょく外に出るじゃない。」
お姉様は、私の質問も当然だといった顔をしていた。
しかしすぐには答えず、しばらく間を開けてからこう答えた。
「私は用事があるから仕方なく出てるだけ。
本当は外になんか出たくないの。」
嘘だ。 そんなのは嘘に決まっている。
でも、ここで嘘だと叫んでも何も変わらないであろうことも私は知っている。
私はやり場のない怒りを押し殺してこう言い放った。
「そう…。 もう…いいよ…。 いつも私ばっかり…。
たまにはちゃんと説明してよね…。」
これだけ言うと、私は知らぬ間に自室に向かって走り出していた。
最後に、地下への階段を下りる直前、玄関の方を振り返ってみた。
お姉様とメイド長がなにやら悲しそうな顔で話し合っているように見えた。
視界がにじんでよく見えなかったが、おそらくそのように見えた。
Ending No.5
─自己防衛のための他者防衛─
レミリア「本当は多分大丈夫だけど私が恐いから。悪いことしてるとは思う。」
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