何の呪文を詠唱しているのかは分からない。
しかし、攻撃的な気配は感じられない。
無駄に目立つ行動は取りたくないので、ここは素直に話しかけることにする。
私が近づくとパチュリーは詠唱を中断し、こちらを向いた。
そしてこう言い放った。
「あら、珍しいお客さんね。 一体何の用かしら?」
話しかける前に話しかけられてしまった。
でも、おかげで手間が省けた。
そんなことを考えながら、私はここでの唯一の目的を口に出した。
「家中に鳴っている音を止めて欲しいんだけど。」
だが、パチュリーは何のことだかわかっていない様子でこう言った。
「音? 一体なんのことかしら?」
ここで騙されてはいけない。
相手は魔女だ。嘘の一つや二つは平気でつくに違いない。
負けじと問い詰める。
「お姉様が外に出られなくなるとかいう音のことよ。
それでも外に出たいとき、お姉様はいつもここに来てるのを私は知ってるんだからね!」
パチュリーはようやく合点がいったようで、今度ははっきりと答えた。
「それならもう止まってますよ。」
私は一瞬耳を疑った。
そんなにあっという間に止まるものなんだろうか。
不安が拭い去れなかったのでもう一度確認してみた。
「嘘ついてない?」
パチュリーはだまってうなずいている。
これ以上聞いても結果は同じだろう。
そう考えていると、今度はパチュリーから質問が飛んできた。
「で、一体何のために?」
当然の疑問だろう。
私が図書館に来ることなどまずないのだから。
ここにいるだけで怪しいというのに、聞いている内容が内容だ。
しかし、ここで本当の目的を言えば止められるのは目に見えている。
それだけは避けたかったので、私は
「何でもいいでしょっ。」
とだけ言うとそそくさと図書館をあとにすることにした。
パチュリーが怪しげな視線を投げかけている中、大きな扉のところまで戻ってきた私は
扉を開けて図書館を出る
いざ玄関の扉を開ける場面では、文章中から「はれ」という文字列を探すこと。
その文字列に次の場所へのリンクがあるはずだ。
(例えば、このはれのように隠してある。)