これ以上図書館に用はない。
たった一つあった用件も済んではいない。
しかし、ダメで元々、図書館をあとにすることにした。

私は気分が乗らないまま大きな扉をくぐり、図書館の外へと出た。

するとどうだろう。
先程までずっと聞こえていた音がピタリとやんでいる。
何故かは分からない。
だが、そんなことはこの際どうでもいい。

数秒前まで沈んでいた気分が嘘のように晴れやかだ。
足取りも軽やかに廊下を進み、十字路のところまで来た。

左に曲がっても地下へ戻るだけなので、私は

  • 右に曲がって玄関へ向かう