十字路から玄関まではほんのわずかな距離だ。
私はあっという間に外の世界へとつながる扉に辿りついた。

この扉の向こう側には私の知らない世界が広がっているのだろうか。
期待と不安が入り混じるような気持ちでその扉を見る。

……この扉はこんなに大きかっただろうか。
期待よりも不安の方が大きいのかもしれない。
やはりここで引き返そうか。
いいや、だめだ。
ここで戻ったら二度と外に出ようなんて考えない気がする。

何故それではいけないのか。
家の中にいても不自由はない。
ここに来るまでに何度か考えていたことだ。

そして辿りついた結論。
不自由がないだけで自由でもないことに気づいてしまった。
はれっきとした一人の存在なんだ。
自由に外に出ることくらいできないのは間違っている。

そこまで考えると、私は勇気を振り絞ってその扉を

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